<プロデューサーシップで地方創生> 外国人YouTuberと奥能登「春蘭の里」を訪問

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(YouTuberノルムさんと、春蘭の里の多田喜一朗さん)

6月16日(土)から2日間、奥能登「春蘭の里」を訪問し、カナダ出身YouTuberと地方創生の支援活動を実施してきました。里山文化やホタル等、現地の魅力をギュッと凝縮して報告します。

春蘭の里と私たち

東京から飛行機と車で1時間と15分足らずの好アクセスの立地に、農家民宿群「春蘭の里」はあります。

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(山に囲まれた集落が春蘭の里の中心地)

地元の名士である多田喜一郎氏が1997年に石川県能登町所在の自宅を改装したことを皮切りに、現在までに40を超える農家民宿が同地で開業しました。

私たちNPO法人ZESDAの同地への訪問は、今回で3度目です。

1度目の訪問 
2度目の訪問 

ZESDAは、地域や組織を横断して人と人をつなぎ合わせ、新しい価値を創造する「プロデューサーシップ」を理念に活動しています。

過疎化による集落消失を阻止するべく立ち上がった多田喜一郎さん。
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私たちと理念を共有する「地域プロデューサー」です。

参考までに、私たちの春蘭の里に対するこれまでの支援活動は以下のとおりです。

<宿泊ビジネスや山菜成分に関するコンサルテーションの実施>
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<東京都内で広報イベント開催(平成30年3月24日(土))>
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(PLANETSや北國新聞に記事掲載されました)
ch.nicovideo.jp

<英語版ホームページ作成・運営(※)や、Wikipedia等作成による第三者視点の外部発信>
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※外国人からの問合せ対応をZESDAが遠隔で支援中

訪問の趣旨

今回は、観光客や移住検討者向けに発信可能な魅力(コンテンツ)の収集を主目的としました。

念頭に置いたことは2つです。

①外国人や都市部住民の視点
地元の方にとっては身近な光景も、他地域からは斬新で魅力的に写ることがあります。

②光景の裏にある、人の想いや歴史
広大な農地や新鮮な野菜をありのままPRするだけではなく、供給者の想いや、そこに至るまでの過程にスポットライトを当てます。

上記の趣旨から、発信のプロ、カナダ出身の人気YouTuber、ノルム(Norm)さんにもご同行頂きました。

www.youtube.com

ノルムさんは、東京とその近郊の魅力を掘り下げて、主に英語圏向けに発信しています。まさに上記①②を日々実践しています。
(今回の撮影動画は本ページ最下部付近)

いざ出発

羽田空港と能登(里山)空港間の飛行機は、朝と夕方の2便のみです。
私たちは、ANA8時55分発 → 9時50分着の飛行機に搭乗します。

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フライトに遅れもなく、能登(里山)空港に到着です。
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(メンバー1人入れなかった・・・)

空港前には、宿からタクシー(無料)が手配済で、30分程度かけて「海の家」に向かいます。

海の家は、穴水町竹太(たけだ)に位置する、築60年超、木造2階建ての無人一軒家です。目の前に七尾湾が広がり、いろりのある日本的な家屋が特徴です。中心部からは少し離れていますが、もちろん春蘭の里の一部です。

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(海の家)

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(目の前には大海原)

お昼には、地域のお母様方がキッチンに立たれて、カレーとサラダを提供頂きました。
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(おいしくて一瞬で平らげてしまいました)

材料には能登で収穫された新鮮な野菜が豊富に使われています。隣の家で栽培されたダイコンやタマネギも使われるということです。

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(周辺で収穫された野菜たっぷりのサラダと調理担当のお母様と海の家。)

昼食後、周辺を散歩します。解放感あふれる海沿いから一本入った脇道に、都会ではあまり見なくなった個人経営の呉服屋や薬屋が、歴史のある日本家屋とともに点在しています。

すれ違う住民の方からは、漏れなくご挨拶を頂き、ちょっとした立ち話がすぐに始まってしまうほど。

古き良き地域コミュニティが残っています。
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(趣のある日本家屋が並ぶ)

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(今も文化に根付く呉服店)

次に、今後の有効活用を視野に、春蘭の里の中心地である多田さんの家「春蘭の宿」から、車で約5分圏内の空き家を確認します。

空き家の多くは築100年程度の日本家屋で、持ち主がすでに存在しない家もあれば、年に1度程度里帰りする家もあるとのことです。オーナーが常駐していないため、現在は、修学旅行シーズン等の繁忙期のみに開放しています。

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百年以上前の借用書がふすま一面に貼られた空き家も。
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明治時代には、地主が田畑を貸し出し、労働を対価に食事や寝床等を提供することで労働力を確保する文化があったといいます。伝承によれば、多田さん宅周辺には大きく7つほどの地主が存在し、1地主が10人ほどの小作人を抱えていたとのことです。

一旦海の家に戻り、夕飯です。

メニューは、アジの塩焼きや山菜が盛られて、周辺の里山里海で収穫された材料がふんだんに用いられています。お椀は、高価な輪島塗で統一するこだわり。
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毎回恒例の、多田さんと飲んで語りの談笑タイムもありました。
このアットホーム感が農家民宿の大きな魅力です。第二の故郷が自分に出来たよう。

光のダンス

夕食後は、ホタルを観察するために、車で山中の田園沿いに移動します。

奥能登ホタルの見ごろは、6月下旬から(現在中旬)。また、ここ数日雨が続き気温も低かったので、ホタルを目に出来るか不安でしたが・・・

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いましたホタル!しかもたくさん。

豊かな自然と綺麗な水の象徴のホタル。能登が里山里海の世界農業遺産に認定されたのは、このような環境と、人が長年共存してきたからだと感じました。

田園とホタルが重なり合うと、日本文化の象徴ともいえる幻想的な風景に映ります。

星空のまち、穴水町

ホタル観察を終えて、宿に戻る途中、多田さんが案内してくれたのは、見たこともない一面の星空でした。

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タイムラプスモードで撮影しましたが、肉眼でもこれぐらい見える印象でした

「誰かに星を見てもらいたいときは、いつもここに連れてくるんだ」と多田さん。
私も、あまりの感動で涙目になりました(そんなに涙もろくないはずなんだけど・・)。

今後辛いことがあったら、この星空を思い出そう
そう言うメンバーの言葉が印象的でした。

春蘭の里が跨る穴水町は、「星空のまち」と発信しています。今後、私たちの活動が少しでも地域の広報に繋がるべく頑張りたく思っています。

世界農業遺産を堪能

翌日は大快晴。晴れていると能登の海はよく映えます。
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絶好の山菜狩り日和につき、世界農業遺産にも認定された、多田さん所有の里山に移動します。

いまでこそ、自然と人間のサステイナブルな関係と頻繁に聞くようになりましたが、ここ奥能登では古くからその慣習が文化として根付いています。食卓には裏山でとれた山菜やきのこが上がり、環境保全のために枝打ち(余分な枝や枯れた枝を切り落とす作業)が習慣的に行われてきました。

山に入ると川のせせらぎが聞こえてきます。
川の周辺に自生する植物はほとんどが山菜で食用可能とのこと!
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山菜の最盛期からは1カ月ほど遅くなりますが、ウワバミソウをはじめ、フキやサンショウを豊富に採取することができました。

採りたての山菜と周辺で調達した食材を用いて、料理研究家の助手を務めていたメンバーが、多田ご夫妻に創作料理を披露しました。
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メニューにバラエティーを持たせることで、長期滞在や、流行りの「インスタ映え」需要を取り込めると考えたからです(周辺で調達可能な材料のみで調理)。

ご夫妻の反応はというと

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とても美味しいと大好評!!^_^

今後少しでも料理開発の参考になるところがあればと、レシピをお渡ししました。

訪問の総括

ホタルや星空、山菜、空き家をはじめとして、多くのコンテンツを収集出来ました。また、ノルムさんには、動画撮影に加えて、効果的な外部発信の方法を丁寧にご指導頂きました。

収集したコンテンツの利用も既に進めています。

<英語HPにストーリー毎の写真を挿入>
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<春蘭の里が持つ課題をストーリー形式でトップページに挿入(英語HP)>
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(現在、日本語ホームページも作成中です)

そしてお待ちかね!
同行頂いた、YouTuberノルムさんによる撮影動画です。
www.youtube.com
(必見!!!)

加えて、ノルムさんに指導頂いた後のメンバーの写真編集技術の向上が際立ちます。
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今回、ノルムさんには地方創生の趣旨にご共感頂き、無償で動画撮影をして頂きました。心から感謝申し上げます。

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(夜中の2時ごろまで語らう図)

今後もZESDAは、パラレルキャリアならではの強みを活かし、地方創生に取組み続けます。こんな活動を一緒にしたいと思われる方、ぜひ、ZESDAへの参画をお待ちしております!

ボランティアにご応募頂ける方はこちら。
http://zesda.jp/recruitment.html

活動費をご寄付頂ける方はこちら。
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本記事は、瀬崎が担当しました。