2013年5月25日、ちよだプラットフォームスクウェアにてZESDA共催の合同シンポジウム「地域から発信するイノベーションへの挑戦」が開催されました。
シンポジウムでは、全体を通して、地域の良さをどう発信するのか、ドン・キホーテ(ヨソモノ・ワカモノ・バカモノ)の力をどう活用するのか、地域の人材をどう活用する(東京ではなく地域に目を向けてもらう)のか、という三つの話を中心に進んでいきました。
最初の早稲田大学研究戦略センター副所長の小林直人教授の挨拶のあと、元奈良先端大学今田哲教授の基調講演が行われ、関西学研都市での地域活性化のお話をしていただけました。
そして、ここで興味深かった点は3点、1点目は異なる目的をもった組織を同じ方向に向かわせるにはまずビジョンが必要ということで、医療による地域活性という目標を掲げたこと、そして2点目は当時大学に特許を保有するという考えがなかったところを、海外の事例を参考に大学からの技術移転の仕組みを考えたことでした。
最後に3点目は山中教授という、当時はドン・キホーテとも思われていた氏を、周りの反対を押し切り登用した懐の深さ及び仕組みがあったということでした。
そして、基調講演後はパネルディスカッションが行われました。
ディスカションにはコスモピア社長の田子みどり氏、一般社団法人墨田区観光協会理事の久米信行氏、熊本市副市長の牧慎太郎氏、横浜学生環境活動コンテスト主催RCE横浜若者連盟の多田陽香氏に参加していただき、熊本⇒山口⇒奈良⇒横浜⇒東京という地域的な広がりと、パネラー4人は男女半々、また年齢では上は70歳代から下は21歳の大学生までと年齢的な広がりもある多様性のあるものとなりました。
これはコーディネーターである地域・技術経営総合研究所所長の中原さんのイノベーションは多様性が重要という思いを反映したものとなっています。
そしてディスカッションにおいて、地域からのイノベーションが必要なのは、日本を良くするには地域から力強くしていかなければならないという、日本の状況があるからだという話が出ました。
これに関しては、後述の牧慎太郎さんが軽快な語り口で分かりやすくご説明されていました。
まず、パネラー1人目の田子みどりさんは、元祖女子大生企業家ともいえる方で、在学中に起業されて今日まで至っています。
そして、現在は東京から故郷である山口県荻市のための活動を行っています。
そして、情報発信の方法として、東京をマーケットとしてだけでなく、メディアとして距離を感じさせないアピールを行うこと、そして人材活用の面では、SNSを使用して、地域の方と連携して活動を行うことの大事さを話されていました。
さらに2人目の久米信行さんの講演では、数々のヒントが飛び出しましたが、その中でいくつか紹介しますと、それぞれの役割をもった人が、自分の領域を少し出て、各々がブリッジパーソンになるということ、そして、名誉職ではなく、本当に現場でものごとを動かせる人同士をつなげることによって、ものごとを実現できるということをおっしゃっていました。
3人目は牧慎太郎さんのパワフルな講演。現在熊本在住ということですが、これまでのお仕事で数々の出向を経験されて地域の実情というのを踏まえたお話が印象的でした。
中でも、地域の人口減少の原因と、それとは反対の力を働かせるためのヒントについてお話がありました。
まず地域の人口が減少しているのは、18歳以上の人口が東京にいってそのまま帰ってこないことが原因とのことです。
逆に18歳の若い人口は一定の割合で増加しているそうです。地域に働き盛りの18歳以上の人口が少ないため、地域が活性化しないのは必然で、そのためには地方はダサい、東京はカッコ良いという価値観をくずしていく必要があるということです。
何も全ワカモノがそう思う必要はなく、10人にひとりそう思えば地域は回るということ。そして、案外そういう価値観をもった若者が現れ始めているというお話でした。
最後にRCE横浜の多田さんの講演。環境というテーマで横浜市や地元有力企業と協力関係を構築し、毎年のイベントを成功されているというお話でした。
学生に対して言いたいことありますか、という他パネラーへの問いに対して、環境というひとつのテーマでは弱いという点、協力を仰ぐ場合は、実行者となる人を巻き込むべきだという点、また最近の学生は大人しすぎるので、制度を変えるために、若者自らが文句を言って、あるべき方向に持っていくべきだという話がありました。
上記のように多岐に渡る話がありましたが、根源となる部分には共通する考え方があり、数々の事例とそこから共通した強力な気づきを得られました。
懇親会はオーガニック食材、ジンジャーエールを頂ける会場横のレストランで行われ、そこでも活発な議論が飛び出していました。
来年は震災をテーマに東北から千葉まで、そして年齢では高校生のパネルディスカッションへの参加が予定されているそうです。
(K.T.)