【グローカル・ビジネス・セミナー(無料)】「ちょうどよい疎」という北海道東川町のまちづくり戦略

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多くの方にお申し込みいただき、ありがとうございました。
NPO法人ZESDAが明治大学奥山雅之研究室と共にお届けするグローカル・ビジネス・セミナー。第18回は、北海道上川郡東川町の松岡 市朗(まつおか いちろう)町長をお招きし、東川町のまちづくり戦略についてお話いただきます。

グローカル・ビジネス・セミナーについて

近年、新たな市場を求めて地方の企業が国外市場へ事業展開する動き(グローカル・ビジネス)が活発になっています。しかし、地方の中小企業が国外市場を正確に捉えて持続可能な事業展開を行うことは、海外人材の不足(語学能力含む)、ITスキル、カントリーリスク等一般的にはまだまだハードルが高いのが現実です。

そこで、グローカル・ビジネスの実態把握を通じて特有のマネジメント理論の確立を目指して研究している明治大学奥山雅之研究室と、地域企業に対して都市人材の海外ネットワークやスキルをプロボノ活動によって提供してグローカル・ビジネスの支援に一定の成果を上げているNPO法人ZESDAが協働し、地域の中小企業におけるグローカルビジネスの成功事例や興味深い挑戦事例に関わったキーパーソンを招聘して事例研究を行って知見を貯め、また研究・ビジネス人材のネットワーク・コミュニティを構築することを通じて、グローカル・ビジネスの発展に貢献するべく、グローカル・ビジネス・セミナーのシリーズを企画していきます。

今回のセミナーについて

北海道全体で人口減少傾向の中、東川町は人口約2割増

北海道の人口は1995年約569万人のピークを境に、2020年には約522万人と約47万人減少しています(令和2年国政調査より)。

そういった中で東川町は、1993年3月に6973人と最も減少したものの、それ以降は右肩上がりとなり、2020年では8314人と約2割の人口増加となっています。

ただ、東川町には国道も鉄道もありません。さらに上水道も整備されていないため、全戸が地下水で暮らしています。

都会の便利さに慣れている人はなかなか信じられない生活スタイルだと思いますが、それでも東川町で暮らしたいという人々は実際に増えているそうです。

国内外に向けた特徴ある施策

いまでこそインスタ映えを謳ったスポットが日本全国にありますが、インターネットが無かった1985年、東川町は「写真の町」宣言を行いました。「自然」や「文化」そして「人」が写真を通じて出会い、「写真映りのよい町」を目指し続け、今では「東川町国際写真フェスティバル」が開催されるまでに成長しています。

また、外から地方を応援する仕組みとしてふるさと納税が有名ですが、東川町では、そのふるさと納税を活用した「ひがしかわ株主制度」を立ち上げています。そこで取り扱われる「株」は譲渡や売買、換金などできないものの、東川町にある事業に対し、1株1,000円、10株単位で投資できたり、株主優待制度も設けるなど、まるで株取引をしているかのように外部の人がまちづくりを応援する機会を提供しています。

さらに、2015年には国内で初めて「町立」の日本語学校を開校し、日本語教育を通じて、外国人に日本文化を伝える場を作りました。そこで学んだ外国人たちは、道内で働くだけでなく、帰国後は東川町と母国を繋ぐ担い手にもなっているようです。

ちょうどよい疎(そ)=「適疎」という考え方

東川町のこういった施策は、様々なメディアで取り上げられていますが、特に注目されているのが「適疎」という考え方です。国語辞典には掲載されていない言葉ですが、地方創生という分野において、とても重要な概念になりつつあります。

「適疎」を直訳すると、今回のセミナーのタイトルにある「ちょうどよい疎」ということになると思いますが、東川市では、この過密でも過疎でもない、人と人との「ちょうどよい」間といった概念を根幹に据え、まちづくりに取り組んでいらっしゃいます。実際、東川町の行政組織図には「適疎推進課」もあり、単に集客のための宣伝文句的な用語ではなく、かなり本気に取り組まれていることが伝わってきます。

今回のセミナーでは、そのトップにいらっしゃる松岡町長に次のようなお話をしていただく予定です。

  • 「写真の町」「ひがしかわ株主制度」「町立日本語学校」といった施策は、まちづくりにどのような成果をもたらしているか?
  • 東川町における「適疎」とは、具体的にどういった概念なのか?
  • どのようにして「適疎」という考えに至ったのか?
  • 「適疎」を軸にしたまちづくりは、どんな地方で実現できると思うか?

日本の地方から徐々にその土地の文化が失われていく中、「東川らしさ」を追求している松岡町長のお話をぜひお聴きいただければと思います。

登壇者プロフィール

松岡 市郎(まつおか いちろう)

北海道東川町 町長

1951年生まれ。1972年 東川町奉職。
農林課長補佐、社会教育課長、税務課長を経て、2003年に退職。
同年、東川町長に就任。現在4期目。
雄大な大雪山系より流れる清流「忠別川」の美味しい水、澄んだ空気、肥沃な大地と美しい景観、恵まれた資源を最大限に活用し、新たな付加価値を創出しながら、写真文化首都「写真の町」東川町の地名度を生かしたプライムタウン(最高のまち)づくりに取り組んでいます。
また、職員の知力と実行力を求める「前例踏襲型」から「個性創造型」行政への転換を図り、住民福祉の向上に努めています。

奥山 雅之(おくやま まさゆき)

明治大学政治経済学部 教授

中小企業施策の企画・立案に長く携わるとともに、各自治体の施策検討委員会委員などを務める。専門は地域産業、中小企業、地域ビジネス、起業、製造業のサービス化、企業診断、産業政策など。博士(経済学)。科学研究費を得てグローカルビジネスを研究中。

セミナー詳細

タイトル 「『ちょうどよい疎』という北海道東川町のまちづくり戦略」
開催日時 2022年4月27日(水)19:30~21:00
開催形式 ZOOMを活用したオンライン開催
※お申し込み後、ZOOMリンクを送らせていただきます。
料 金 無料
主 催 NPO法人ZESDA
明治大学奥山雅之研究室
共 催 研究・イノベーション学会プロデュース研究分科会