第17回は「世界初。人口800人の限界集落がNFTを発行した理由」を3/9(水)19時よりオンライン開催しました。ゲストとして山古志住人会議 代表の竹内 春華さんをお招きし、地域活性化のために世界に向けてNFTアートを発行したという、とても大胆な取り組みについてお話いただきました。
開催報告
「山古志のかっこよさに衝撃を受けた」
2004年の新潟県中越地震の被災地で知られる山古志ですが、厳しい気候の中で錦鯉等の文化を育んできた地域としても有名で、クリエイティビティ―を根底に持っている地域でもあるそうです。
講演者の竹内さんは山古志の出身ではありませんが、被災後に村外の仮設住宅居住中でも、山古志に出向き山菜をとって山古志の暮らしを体現しようとしている住民に衝撃を受け、その住民のかっこよさに惹かれたことをきっかけに山古志の支援を始めたそうです。
講演では、まず山古志での取り組みをご紹介いただきましたが、限界集落を存続させるために様々なことをやりつくしてきたそうです。最後の挑戦として始めたNFTを使った企画で「グローバルなデジタル関係人口を創出する」という壮大な目標の達成に向けて努力されていて、800人のリアル村民とデジタル村民の融合させることやたくさんのIT企業に企画を持ち込んでうまくいかなかった苦労話等もお話しいただきました。
「感謝の気持ちが技術をもった外部への結びつきとなった」
後半は奥山先生とのディスカッション、質疑応答でしたが、なぜ山古志でこれらの企画が実現できたのかを中心に、具体的なNFT販売における実務やPJTの実態に関してご説明いただきました。
NFT購入者をデジタル村民にするという発想がユニークですが、NFT購入者は全員初めてNFTを購入した人で、山古志支援の気持ちを強く持っている方が多いそうです。
NFTやDAOといった最先端の技術をどうして活用できたのか、多くの質問がありましたが、それらに明るいデジタル村民がシェアしてくれることもあるそうで、「被災後のスローガンの1つである『感謝』という気持ちが、技術を持った外部への結びつきの材料になったと考えられる」という奥山先生の言葉が印象的でした。他団体で同じような活動をしたいという声もありましたが、非常に参考になる点に感じます。
今後の目標として、山古志を疑似体験できるメタバース空間づくりをご検討されているそうです。デジタル村民の投票で決まった村おこしプランにも入っていたものの1つということで、今後も様々な企画が実行されることが期待されます。これからの山古志にも注目していきたいと思います。
登壇者プロフィール
竹内 春華
山古志住民会議 代表
新潟県魚沼市出身
2007年生活支援相談員として山古志災害ボランティアセンターに所属。2004年に発災した中越地震で被災した旧山古志村の住民が暮らす仮設住宅にて活動。
2008年地域復興支援員として、住民主体の地域づくり団体「山古志住民会議」の事務局をつとめる。山古志のグランドプラン「山古志夢プラン」を策定し、地域住民と各種事業をおこなう。
2021年4月より山古志住民会議の代表をつとめる。
●Twitterにてプロジェクト最新情報をご覧いただけます。
Nishikiboi NFT公式アカウント @nishikigoiNFT
奥山 雅之
明治大学政治経済学部 教授
中小企業施策の企画・立案に長く携わるとともに、各自治体の施策検討委員会委員などを務める。専門は地域産業、中小企業、地域ビジネス、起業、製造業のサービス化、企業診断、産業政策など。博士(経済学)。科学研究費を得てグローカルビジネスを研究中。
開催実績
タイトル | 「世界初。人口800人の限界集落がNFTを発行した理由」 |
開催日時 | 2022年3月9日(水)19:00~21:00 |
主 催 | NPO法人ZESDA 明治大学奥山雅之研究室 |
共 催 | 研究・イノベーション学会プロデュース研究分科会 |
近年、新たな市場を求めて地方の企業が国外市場へ事業展開する動き(グローカル・ビジネス)が活発になっています。しかし、地方の中小企業が国外市場を正確に捉えて持続可能な事業展開を行うことは、海外人材の不足(語学能力含む)、ITスキル、カントリーリスク等一般的にはまだまだハードルが高いのが現実です。
そこで、グローカル・ビジネスの実態把握を通じて特有のマネジメント理論の確立を目指して研究している明治大学奥山雅之研究室と、地域企業に対して都市人材の海外ネットワークやスキルをプロボノ活動によって提供してグローカル・ビジネスの支援に一定の成果を上げているNPO法人ZESDAが協働し、地域の中小企業におけるグローカルビジネスの成功事例や興味深い挑戦事例に関わったキーパーソンを招聘して事例研究を行って知見を貯め、また研究・ビジネス人材のネットワーク・コミュニティを構築することを通じて、グローカル・ビジネスの発展に貢献するべく、グローカル・ビジネス・セミナーのシリーズを企画していきます。