2014年2月22日に日本経済大学大学院246ホールにて第11回プロデュース・カフェ「結合が生むイノベーション~プロデュースに欠かせないconvergingというセンス~」を開催致しました。
今回は直前レポートでもご連絡したとおり、日本経済大学鈴木浩教授による「メタエンジリアリング」4回シリーズの3回目の講演となりますが、今回はメタエンジニアリング研究所特任教授の小松康俊氏にもご参加いただき、理論的な説明を鈴木教授に、具体例の紹介を小松教授に行っていただきました。
メタエンジニアリングとは、
1.潜在する課題の発見(Mining)
2.必要領域の特定・育成(Exploring)
3.領域の統合・融合(技術と学術)(Converging)
4.社会的価値の創出と実装(Implementing)
このプロセスを動的かつスパイラルに推進していくことと定義されています。
(これまでの「1.Mining」、そして「Exploring」については、リンク先の過去の記事をご参照ください。)
「Converging」は、Whyの視点から根本的な課題を発見し(Mining)、その課題の解決方法を既存の価値観に縛られずに考えて(Exploring)、その解決方法を様々な分野の技術や知識を組み合わせて産み出す段階になります。
「Converging」を実現させたものとしては、具体的には病院のMRIが挙げられます。MRIの登場以前は、X線の断層画像をもとに医師が頭の中で3Dのイメージを推測するという職人芸的な技量に頼ったものでした。
それが、MRIでは、断層画像を連続的に取得し、そのデータを3D化することで、誰でも視覚的に症状が把握できるようになりました。これは、断層画像を撮影するハードウェアと3D化を実現するソフトウェアを組み合わせて実現したもので、ハードウェアの枠組みの中でだけ考えていては解決できなかった事例と言えます。
他に身近な例では、最近はコンビニエンスストアでファーストフードと同じようにコーヒーを提供するサービスが好評ですが、「コンビニだから缶コーヒーを提供すればよい」というのではなく、「コンビニに来る顧客も本当は淹れたてのコーヒーが飲みたいのではないか」と潜在的な課題を発見し、淹れたてのコーヒーを提供する技術をコンビニの流通経路に組み込み、サービスを提供したという点で、「Converging」を体現しています。
以上の講義を踏まえ、ワークショップでは「テレビをなぜ見るのか」という課題設定を踏まえ、「そのニーズを既存の技術などで満たす方法」というテーマで参加者の方々に議論していただきました。
その結果、「テレビを見るのは寂しさを紛らわす面もある」ことを発見し、その解決方法として、芸能人の部屋やサファリパークなどを部屋のクローゼットなどに投影するサービスを提供するといった新しいテレビの可能性を感じさせる意見など「メタエンジニアリング」を駆使した発表ばかりとなりました。
そして、カフェの後は参加者での懇親会が行われました。今回に限らず、カフェ後には毎回、懇親会を行っていますので、普段は出会わない異業種の方と交流していただき、新たな気づきやビジネス・チャンスが得られる場を今後ともZESDAから提供していきたいと思います。
(NakiOtoko)