近年、新たな市場を求めて地方の企業が国外市場へ事業展開する動き(グローカル・ビジネス)が活発になっています。しかし、地方の中小企業が国外市場を正確に捉えて持続可能な事業展開を行うことは、海外人材の不足(語学能力含む)、ITスキル、カントリーリスク等一般的にはまだまだハードルが高いのが現実です。
そこで、グローカル・ビジネスの実態把握を通じて特有のマネジメント理論の確立を目指して研究している明治大学奥山雅之研究室と、地域企業に対して都市人材の海外ネットワークやスキルをプロボノ活動によって提供してグローカル・ビジネスの支援に一定の成果を上げているNPO法人ZESDAが協働し、地域の中小企業におけるグローカルビジネスの成功事例や興味深い挑戦事例に関わったキーパーソンを招聘して事例研究を行って知見を貯め、また研究・ビジネス人材のネットワーク・コミュニティを構築することを通じて、グローカル・ビジネスの発展に貢献するべく、グローカル・ビジネス・セミナーのシリーズを企画していきます。
今回のセミナーについて
日本の農業は、なぜ十分に力を発揮できていないのでしょうか。
技術も人材もありながら、その潜在力が制度や慣行との関係の中で十分に活かされていないのではないか――そのような問題意識が共有されつつあります。
とりわけ「コメ」は、その縮図といえます。これまでの保護や価格安定の仕組みは、生産者の行動や経営判断に大きな影響を与えてきました。その結果、日本のコメ農業は、世界市場との向き合い方においてもさまざまな制約を抱えていると指摘されています。
窪田新之助氏と山口亮子氏は『誰が農業を殺すのか』(新潮新書、2022年12月)において、こうした農業政策や産業構造の変遷をたどりながら、「成長を妨げてきた要因」を多面的に整理しています。また、山口氏は近著『コメ壊滅』(新潮新書、2025年9月刊)で、令和のコメ騒動を素材に、市場との関係性や政策運営上の課題を描き出しています。
一方、農業法人役員であり民俗学者でもある野口憲一氏は、『コメ関税ゼロで日本農業の夜は明ける』(新潮新書、2025年12月刊)において、「農家のソフト」(農家の持つ実践知や身体知)に着目し、日本農業をあらためて成長産業として位置付け直すための考え方を提示しています。
本フォーラムでは、コメを一つの入り口として、日本の農業が世界市場も視野に入れつつ、どのように持続的な成長を実現しうるのかを議論します。成長を妨げてきたとされる構造や政策的背景を批判的に検討する視点と、今後の成長のあり方を構想する視点を行き来しながら、地域の農業現場と世界市場との間をつなぐ中長期的な戦略像を探ることを目指します。
企画・コーディネートは、窪田氏・山口氏の共著『誰が農業を殺すのか』、山口氏の『コメ壊滅』、そして野口氏の『「やりがい搾取」の農業論』(新潮社、2022年1月)および『1本5000円の蓮根がバカ売れする理由』(新潮新書、2019年4月)を担当してこられた、新潮社新書編集部の横手大輔氏が務めます。
三者それぞれの立場と視点を束ね、思想と現場の実態を接続しながら、日本農業の「成長戦略」についてオープンな社会的対話を行う場としたいと考えています。
守る農業から、成長可能性を高める農業へ。
日本の農業を、世界でも輝かせるために。
登壇者プロフィール

野口 憲一(のぐち けんいち)
(株)野口農園取締役/民俗学者
1981年茨城県生まれ。日本大学大学院博士後期課程修了。博士(社会学)。日本大学助手、恵泉女学園大学非常勤講師、日本農業経営大学校特任講師などを経て株式会社野口農園取締役。
著書に『1本5000円の蓮根がバカ売れする理由』、『「やりがい搾取」の農業論』などかある。

山口 亮子(やまぐち りょうこ)
ジャーナリスト/(株)ウロ代表取締役
愛媛県生まれ。京都大学文学部卒。中国・北京大学修士(歴史学)。時事通信記者を経てフリーに。
著書に『コメ壊滅』『日本一の農業県はどこか 農業の通信簿』『農業ビジネス』『ウンコノミクス』などがある。企画編集やコンサルティングを手掛ける。

窪田 新之助(くぼた しんのすけ)
ノンフィクション作家
1978年福岡県生まれ。明治大学文学部卒業。
2004年JAグループの日本農業新聞に入社。国内外で農政や農業生産の現場を取材し、2012年よりフリーに。
『対馬の海に沈む』で第22回開高健ノンフィクション賞受賞。

横手 大輔(よこて だいすけ)
新潮社新潮新書編集部
1968年茨城県生まれ。編集者。早稲田大学第一文学部卒業後、新潮社に入社。政治経済情報誌『フォーサイト』編集部を経て新潮新書編集部に勤務。
主な担当作に『国家の品格』(藤原正彦著)、『ケーキの切れない非行少年たち』など。

奥山 雅之(おくやま まさゆき)
明治大学政治経済学部 教授
中小企業施策の企画・立案に長く携わるとともに、各自治体の施策検討委員会委員などを務める。専門は地域産業、中小企業、地域ビジネス、起業、製造業のサービス化、企業診断、産業政策など。博士(経済学)。
セミナー詳細
| タイトル | 日本の農業はなぜ成長できないのか |
| 開催日時 | 2026年1月10日(土)13:00~15:00 (会場は12:30より受付開始、オンラインは12:55より入室いただけます) |
| 開催形式 | 会場とオンラインのハイブリッド開催 |
| 開催場所 |
■会場 明治大学駿河台キャンパスリバティタワー7階1073教室(地図はこちら») ■オンライン |
| 料 金 | 無料 |
| 主 催 | NPO法人ZESDA 明治大学奥山雅之研究室 |
| 共 催 | 研究・イノベーション学会プロデュース研究分科会 |
| 協 力 | 新潮社新書編集部 |
- お申し込みいただいた方全員に、セミナーを録画した動画を後日配信いたします。
懇親会詳細(会場参加の方へ)
| 会場 | カフェ パンセ 住所:東京都千代田区神田駿河台1-3-3 アカデミーコモン1階(地図はこちら ») |
| 時間 | 2026年1月10日(土)16:00~18:00 |
| 会費 | 2,500円(税込) |
- 「会場参加」お申し込み後、自動返信メールにて会費お支払い用リンクをお送りさせていただきます。
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