NPO法人ZESDAは、「官民恊働ネットワークCrossover」(中央省庁の若手職員を中心とする異業種間ネットワーク)との共催、株式会社クリックネット まなび創生ラボ の協力により、在京の大使館、国際機関や外資系企業の職員、及び市民社会関係者をスピーカーに迎え、国内外の政治・経済・社会問題について英語での議論を通じて理解や問題意識を高める、「Platform for International Policy Dialogue (PIPD)」を開催しています。
7月14日(金)7時30分より開催された第37回PIPDセミナーは、広報外交の研究者で、京都外国語大学の教授のDr. Nancy Snow氏をお招きし、“How Japan Can Better Tell Its Story To The World.”というタイトルでお話し頂きました。
スノー博士の近著、「JAPAN’S INFORMATION WAR」のオーサートークの後、博士が用意した問いをもとに、参加者同士でディスカッションを行い、とてもインタラクティブな会となりました。
「JAPAN’S INFORMATION WAR」には、日本が自国について世界へ発信し、より深く世界と関わっていくためのアイディアが綴られているそうです。「WAR」という言葉は「戦争」というよりも、中国、韓国、東南アジア諸国との「競争(competition)」をあらわしているそうです。
スノー博士は、日本はアジアのライバルたちの間でより突出した存在であることをブランディングする必要性を訴えていました。また「WAR」という表現は、博士の代表作である「Information War(邦題:情報戦争)」に引っ掛けて採用されたそうです。
次に、民間人による”story telling(物語を伝える)”の大切さについて博士は訴えました。現・安倍内閣は世界に対し”Abenomics”や”Womanomics”など日本を印象付けることに一定程度の成功を収めたが、まだまだ世界での存在感はそのポテンシャルに比べるととても小さい、安倍首相の伝える日本のみが先行しそれ以外の日本の魅力が世界に届いていないと訴えました。
世界が知りたい『物語』は、それぞれの地域や人が作り出す実感に溢れた話や、一人ひとりの国民が語る日本のことであるとのことです。より世界に日本を印象付けるためには、国際的に活躍できる日本人を増やすとともに、日本の魅力を語れる能力を育てることであると述べられました。
以上の問題意識を元に、”What are Japan’s stories to the world?( 世界に伝えたい日本の『物語』は?)” “What are the most prominent Japanese values?(日本の最大の価値とは?)”という問いが観客に投げかけられました。
4~5名の小さなグループに別れ話し合い、内容を共有しました。日本の魅力は「平和」や「安全性」、トヨタに代表されるの「カイゼン」というマインド、新幹線の清掃員の無駄のない仕事ぶりなどが挙げられました。
トヨタや新幹線の事例は理想的なマネジメントとして世界でも高く評価されているが、いずれも日本人が自ら気づいたものではなく、他の国から指摘されて知ったものであるという意見も出されました。
これらの議論を受けて、スノー博士や会場からは、日本での快適な生活から離れ、外国へ行くことの必要性、英語でのディスカッションやダイアローグ、プレゼンテーションの機会を持つ重要性が共有されました。
会場にご協力頂いた株式会社クリックネット様にこの場を借りて、御礼を申し上げます。