私たちNPO法人日本経済システムデザイン研究会(ZESDA)は、2016年10月22日(土)日本経済大学大学院246ホールにて、「第2回ZESDA交流会」を開催いたしました。
第一部では、ZESDA代表 桜庭より、「グローバル社会と日本人の可能性 〜世界に手が届く場所で〜」と題した基調講演を行いました。
桜庭は、2014年8月から2016年7月にかけて、イギリスにおいて2年間の留学生活を送りました。スコットランドの独立とイギリスのEU離脱に対する国民投票という歴史的な瞬間に立ち会いながら、留学1年目はLSEで最先端の規制分野について学び、2年目はOxford大学でModern Japanese Studiesについて研究をして参りました。Oxford大学では、カレッジと呼ばれる38の学生寮のうちの1つに所属し、カレッジにおいて毎週のようにFormal Dinner & Party(晩餐会)が開催され、晩餐会が4回も席替えがある「社交場」として機能している様子、そして、いわゆる上流階級の英国エリートは「カネ・コネ・チエ」の全てを兼ね備え、富と影響力を掌握している姿を目の当たりにしてきました。
このような環境の中で、2年間のイギリス留学を経た桜庭は、「日本が『今、英国に学ぶべきこと』とは『コモンウェルス』である。」という結論に達しました。イギリスは、コモンウェルスとして53カ国・22億人の首都たる地位を築いており、他国を「実験の場」としてトライ・アンド・エラーを繰り返しながら、より良い結果を自国に取り入れる仕組みを発展させています。このようなイギリスのコモンウェルス機能より着想を得た桜庭は、以下のような「日本版コモンウェルス構想」を提案します。
- 国ではなく「個人」単位のコモンウェルスであること
- 世界中の「日本ファン」を「優遇」することで形成されること
- 日本と母国の架け橋になる人々との連携が不可欠であること
そして、このたびの第2回ZESDA交流会は「日本版コモンウェルス構想」に基づいた試みであるとして、第二部では、留学生を囲み、彼ら・彼女らが「日本で驚いたこと」をきっかけとして、母国におけるビジネス・アイディアを創発する「ニーズヒアリング・ワークショップ」を実施しました。ワークショップの終了後は、各チームよりビジネス・アイディアを発表していただきました。アフリカからの留学生に対するニーズヒアリングでは、日本の住環境は「うさぎ小屋」と例えられ、海外からのマイナスイメージが強いと思われがちなところ、人口密度の増加が予想されるアフリカでは、空間の使い方や収納の工夫など、コンパクトで機能性が高い日本の住環境がフィットする可能性が高く、ビジネス・チャンスとなり得ることが発表されるなど、海外の方々の視点を通して日本の魅力が再発見された実りの多いワークショップとなりました。
第三部では、ZESDAと関連の深く、日本と世界の架け橋たることが期待される3団体より、団体の主旨や取組み内容を紹介していただきました。文科省奨学生ネットワーク(MSN)代表の李ロイズ氏より、今年の4月に立ち上げたばかりのMSNの設立目的と今後の展望について、そして、在日ペルー人学生・卒業生協会(APEJA)代表のCesar Diez Pachas氏より、日本語とスペイン語の語学力を活かした在日ペルー人の活躍の可能性について、ご発表をいただきました。また、長澤薫氏からは、世界最大の若者サミットである「One Young World」の活動についてご紹介いただくとともに、「私たち若者世代は、日本や世界に対して今すぐにでもやるべきことがある、大人になるまで待ってなどいられない」という強い意思を共有いただき、会場は熱い熱気と拍手に包まれました。
最後に桜庭は、日本は「極東」という言葉に表されるように世界最果ての国ではあるが、今回のテーマである「グローバル社会と日本人の可能性 〜世界に手が届く場所で〜」という副題が示している通り、本交流会において、我々はすでに「世界に手が届いている」状態にあることを大いに実証したとして、本会を締めくくりました。
交流会後の懇親会では、和やかな雰囲気の中、国境を超えた活発な議論が交わされました。
今回のイベントにご参加くださいました皆さま、そして、ご発表をいただきました関連団体の皆さま方に、ZESDA一同、深く感謝申し上げます。これからもZESDAは、さまざまなイベント・活動を行ってまいります。今後も益々のご支援・ご協力のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。