2014年3月29日にASEAN Community-JapanとZESDAの共催で「貿易ゲーム」のイベントを実施しました。
今回は高田馬場の新宿NPO協働推進センターで行わせていただきました。
貿易ゲームとは、世界で行われている「貿易」を疑似体験し、世界経済の動きや、そこに存在するさまざまな問題について学べるシミュレーションゲームです。
ゲームでは、まず参加者をチームに分け、各チームごとに製品を作成してもらい、その製品を輸出して一番儲けたチームが優勝となります。
チームは、以下の3つに分かれて、道具と材料が支給されます(実際の貿易では、道具は生産設備、材料は資源に該当します)。
①先進国チーム(道具豊富、材料なし)
②新興国チーム(道具少々、材料少々)
③途上国チーム(道具なし、材料豊富)
そして、各チームに最初に配られる資金も利用して他のチームと交渉して、道具や材料などを手に入れ、製品をたくさん作るよう戦略を練ります。
今回、道具は定規とはさみ、材料は紙で、紙を1辺12cmの正三角形に切り抜いて製品として取引所のブースに持っていくのですが、取引所で製品の審査が行われるため、紙を破いたり、定規で切ったりしたりなどした形がよくない製品は換金してくれません。
そこで、先進国チームは途上国チームから紙を輸入し、途上国チームは紙を売ったり、先進国チームや新興国チームに紙を渡し製作の外注をしたり、余っているメンバーが先進国に出稼ぎに出たりするなど、それぞれの資源を活かして利益をあげるよう努めることになりますが、これは実際の貿易でまさに行われていることです。
それだけでもゲームとしては成立しますが、今回の貿易ゲームでは、製品をさらに3種類に分けました。
たとえば、最初の10分ではタイをテーマにし、水筒(赤)、フローズンビール(青)、砂糖入りお茶(黄)のどれかを選んで製品を作ってもらいました。
需要が見込まれるものから順に$10,000、$5,000、$1,000の値段が付くのですが、値段は制限時間後に知らされるため、製品をたくさん作っても需要がないものを作ると大して儲からない、下手したら赤字になる可能性があります。
このニーズの判断については、先日ブログでニーズヒアリング(タイ、ミャンマー)としてご紹介しておりますが、留学生などの方々から直にヒアリングを行ってくみ上げたものですのですので、現地のニーズをかなり正確に反映しているものです(イベントでもヒアリングしたご本人にどの製品の需要が見込まれるかを説明していただきました)。
今回は、タイ、カンボジア、ミャンマーの3カ国の方々にご協力していただきました。
ところで、さきほどの、タイの話、
1. 水筒
2. フローズンビール
3. 砂糖入りお茶
の3つのうち、今後タイで需要が見込まれそうなものはどれでしょうか?
タイの方々へのヒアリングとZESDAのリサーチに結果、最もタイで需要が見込まれると判断されたのは、なんと、「2. フローズンビール」。
年間を通して蒸し暑いタイでは、ビールを凍らせたフローズンビールは、冷たい飲み物として、人気が期待できるかも!?との話でした。
反対に、ヒアリングの結果、あまり需要が期待できないと判断されたのは、「1. 水筒」。
そもそも、自分で飲料をもち運ぶという考え方があまりなく、加えて、路上には冷たいものを売るお店が多く、いつでも冷たいものが飲めるため、水筒需要は、日本人ほど高くはならないだろうとのことでした。
ちなみに、砂糖入りのお茶は、すでにタイでは販売されており、
タイの方にとっては、もはや日常風景のひとつとなっているそうです。
そのようなルールで行った結果、今回は新興国チームが1位となり、途上国チームが2位、先進国チームは3位となりました。
これは製品を作れば儲かるのではなく(シーズ発進)、需要のある製品を見抜いて作った国が利益を得られる(ニーズ発進)という貿易の本質をあらわす結果を示していました。
もし新興国チームの需要見込みが外れていれば、当然1位は他のチームになっていたでしょうから、ニーズを的確に把握することがいかに大事かをこのゲームからは学ぶことができると思います。
ZESDAでは、facebookにおいてニーズバンクという海外のニーズを集める仕組み作りに取りくんでいますが、今回の貿易ゲームは、ニーズバンクをニーズ発進のビジネス創出の場として発展させていくための良い練習になったと考えております。
今回初めての取り組みではありましたが、参加者の皆さんが年齢に関係なくゲームに真剣に取り組んでいただき、各チームがベストを尽くしていたので、とても活気のあるイベントとなりました。
イベント後も懇親会を行い、出席者同士で交流しあって、良いクロスカルチャーの場が生まれていました。
今回のイベントは準備活動ということで特定の方にお声掛けさせていただきましたが、今回の反省点を踏まえてよりよりイベントに洗練させて、公開イベントとして実現させたいと考えておりますので、楽しみにしていただければと思います!
(NakiOtoko)