2013年6月29日に日本経済大学渋谷キャンパスにて第2回プロディース・セミナー「バングラデュシュ・スペシャル」を開催しました。
今回のプロデュース・セミナーでは、ゲストの講演を聞いてバングラディシュの前提知識を学んだ後、講演で得た気付きを元に再びワールド・カフェを行い、議論を深めるというワーク・ショップを行いました。
まず、講演ではバングラディシュ・ビジネスパートナーズの岡崎透代表に、現地で生の情報も含めて、バングラディシュについて解説していただきました。
バングラディシュというと、一般的には「アジアの最貧国」というイメージが日本では定着していますが、近年GDPは安定して10%以上の成長を続けており、現在のGDPはベトナムと同水準で、ゴールドマンサックスが世界のネクストイレブンにバングラディシュを選定するなど、なかなか勢いのある国となっています。
その原動力となっているのが、アジア最低水準の賃金を生かした縫製業で、現在バングラディシュは世界のアパレルメーカーの工場となっています。
一方、スラムに住む貧困層は劣悪な環境での労働を余儀なくされており、防災対策のない工場の火事では毎回100人以上が亡くなっていますが、腐敗した政治権力の問題もあって、なかなか改善が進んでいません。
日本でも報道されましたが、今年の4月には違法建築をしていた工場が崩壊し、死者が1,000人を超える大惨事となりました。
実はこの事件前日にビルに大きなヒビが入っていて警察が立ち入り禁止を命じていたにもかかわらず、工場のオーナーが「翌日出社しなかったら解雇する」と従業員に通告したために、従業員は危険な工場に翌日も出社し、そして事故に巻き込まれました。
普通はこの話を聞くと「悪徳オーナーのせい」と簡単に悪者を決めてしまうところですが、ここで岡崎代表から以下の問いがありました。
1.なぜ簡単に壊れるビルを作らなければいけなかったのか(建築基準を守って建設した方が長期的にはコストがかからない)
2.なぜ翌日の操業をやめられなかったのか(補修工事をするなどすれば崩壊を防いで全壊を防ぐことができた)
3.なぜ従業員はクビになるのをそこまで恐れたのか(安全が確認されるまで休んだり、職場を変えるなどすれば無理に出社しないでもよかった)
このような問いによって、事件の表層にとらわれない視点を持つきっかけを与えられたところで、「バングラディシュの課題とその解決方法」について、参加者に議論してもらいました。
議論中は岡崎代表に各テーブルをまわっていただき、バングラディシュの情報を補っていただきながら、先週の鈴木教授に講演をしていただいた「メタエンジニアリング」の手法を使って、議論を深めていきました。
議論後の発表では、エンジニアリング技術の導入やITを利用した就職斡旋など、岡崎代表も興味を示していただけるような案も出てくるなど、普段馴染みのないバングラディシュの課題解決の議論に、参加者の方々に熱心に取り組んでいただけました。
そして、カフェの後は岡崎代表も含めて懇親会が行われ、参加者同士での活発な交流が行われました。
今後もセミナーではひとつの国を取り上げて議論を行いますが、このようにビジネスチャンスに繋げられうる情報を得られるような場にしていきますので、海外進出を考えてる方にはぜひご出席いただきたいと思っております(議論の際には、ニーズバンクで集まった情報も使いますので、その国の生の情報を得ることができます)。
また、直接海外進出を考えていない方も、新しい土俵でのビジネスを考える訓練の場にもなりますし、異業種の方と交流することで、新しいビジネスを始められる可能性もありますので、テーマの国と関係ない方も積極的に参加していただけると嬉しいです。
(NakiOtoko)