イノベーションがもつインパクトとその重要性はもうすでに多くの人々にとって周知の事実ですが、イノベーションがいかに生み出されているのかについてはまだまだ議論の余地があり、具体的かつ明確な方法はまだ見出されていない。
本著ではこの難しいテーマに対して、ビジネスはもちろんサイエンス、医療、音楽、料理、ゲームにいたるまで実に多様なエピソードを引用しながら、イノベーションがいかに誕生するかについてのメカニズムを解説している。
本著の巻末に引用したエピソードの出典元をきちんと掲載されているのでさらに詳しく学びたいという人にとってもありがたい。
メディチ家の庇護のもと、15世紀のフィレンツェでヨーロッパ中から芸術家や文化人、科学者らによって華やかな文化が形成されたことにあやかって、著者は異なる分野や文化が出会う「交差点」でイノベ―ティブなアイディアが生まれることを「メディチ・エフェクト」と呼んでいる。
本著で注目すべき点は、イノベーションが生まれるメカニズムに迫っていると同時に、イノベ―ティブなアイディアを形にすることの重要性についてもきちんと言及していることである。
◆メディチ・エフェクトを生み出すためには
・垣根を取り払うp.50
・連想のバリアを壊すp.62
・偶発的な概念の組み合わせp.84
・偶発的な組み合わせを見つけるp.102
・アイディアの爆発に火をつけるp.122
・爆発をわがものにするp.142
◆イノベ―ティブなアイディアを形にするためには
・失敗を乗り越えて実行せよp.164
・決してひるまず、成功へと前進するp.175
・既存のネットワークから飛び出すp.195
・ネットワークからの脱却p.207
・リスクを引き受け、不安に打ち克つp.217
・公平な目でリスクを測るp.231
・交差点に踏み込めp.248
海外ビジネスの「プロデュース」を普及させるNPOのスタッフとして、
ぜひ本著の知見を活かして、新たなイノベーションが誕生する「交差点」の創出に少しでも貢献したいと思う。
メディチ・インパクト (Harvard business school press)
- 作者: フランス・ヨハンソン,幾島幸子
- 出版社/メーカー: ランダムハウス講談社
- 発売日: 2005/11/26
- メディア: 単行本
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