【代表 桜庭より2015年ZESDAの活動報告と2016年の所信表明】「タテ」から「ヨコ」へ、「ウチ」から「ソト」へ


新年明けまして、いかがお過ごしでしょうか。NPO法人ZESDA代表の桜庭です。

私自身は、現在官費派遣によりオクスフォード大学に留学中にて、各位に大変失礼しております。2016年8月には帰国予定です。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。(本文末尾にちょっとした私の近況報告を申し上げます。)

さて、NPO法人ZESDAは、2015年11月に正会員(スタッフ含む)による総会を開催し、新年度をスタートいたしました。(ZESDAの会計年度は9月締めです。)

設立(2012年8月)から早いもので4年目に入って参ります。活動に参加してくれるボランティアスタッフも日増しに増えており、公務員(地方・国)、栄養士、プログラマ、銀行員、コンサルタント、WEBデザイナー、クリエイティブ・ディレクター、大学生、メーカー社員、ネット店舗店長、ストリートアーティスト、外国人など、40名を超える多様な業界の方々が、多忙ななかで、貴重な余暇を割いて貢献してくれています。代表が英国留学中で不便も多いなか、活き活きと頑張ってくれています。賛助会員も続々と増えております。ご支援誠に感謝しております。

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ZESDAは、日本経済を成長させるべく今年も頑張って参りますが、新年を迎えるに際しまして、2015年の活動実績のご報告と、2016年のZESDAの展望をご説明申し上げたいと思います。

ZESDAのコンセプトは、要しますと、「『タテ』から『ヨコ』へ、『ウチ』から『ソト』へ」と表すことができます。

2015年は、これを実現するための「選択肢」をかなり揃えることができた一年、さらには成果の出し方を試行でき、アウトプット形式を定め、次年度へのタネも撒けた一年だったと、振り返ることができると思っています。

2016年は、これらの選択肢を具体的に繋ぎ合わせることで、より多くのビジネス創出を積み上げていきたいと考えています。機転と機動力が肝要になってくると考えています。

◆「タテ」から「ヨコ」へ

高度成長期を終えて30年経っても「系列」のタテ構造はまだまだ根強く残っています。ライバルや親会社とのシビアな関係の中で、海外進出やイノベーションに割く余力がある企業は少ない実情があります。

競争力を得るべくイノベーションを起こすためには、異業種、異分野との業界を横断したヨコの連携、新規組み合わせの創出が重要であることは、既に広く指摘されてきています。

このため、政府や大企業も、マッチングの「場」の創出、多様性のある交流会などをたくさん試みていますが、イマイチ、かゆいところに手が届き切っていないようにも見えます。

それは、「場」があっても、価値ある新規組み合わせを見出して異業種の人々を繋ぎあわせられる「人」が少ないから、異業界に散らばる人々を橋渡しし、イノベーションに導いていくリーダー、すなわち「プロデューサー」が不足しているからではないか、とZESDAは考えています。彼らを増やすことが、最も効果的な「第三の矢」にもなってくるのではないか、と思うのです。

そこでZESDAは、複数の分野にある程度目利きができる能力(マルチ・リテラシー)を持ち、組織や業界を横断してリーダーシップを発揮できるリーダーである、プロデューサーを日本にもう少し増やすべく、育成・供給・支援して参ります。

マルチ・リテラシーを持つ「E字型人材」についてはこちら(有料記事内)
ch.nicovideo.jp

これは、具体的には、下記「プロデューサーシップ®」を普及する「②エデュケーション事業」の展開によって実現していきます。

◆「ウチ」から「ソト」へ

中国経済に多少陰りがある昨今ですが、依然として、アジア、ブラジル等、海外の新興市場の成長には、昨今目覚しいものがあります。人口減の国内よりも規模的に大きな市場が、国内では競争が厳しくとも海外ではむしろ強みを示せる余地が広がっていると思います。日本のGDPの大半は既に海外投資が占めていますが、それだけでは国内雇用が維持できないと考えます。ZESDAは国際競争力と雇用を両立する国内産業を育成したいと考えています。しかし、普遍商品のクオリティのコスパを競う産業形態では既に難しい状況です。

ZESDAは、日本産業の次代は、様々な海外各地域のニーズに今の日本が応えられることを丁寧に拾って、多少ニッチな高付加価値の財やサービスを、多種繰り出していくしていくことで切り拓くしかないのではないか。

そして、そのような新商品を産み出すには、外国人が日本や日本の財・サービス の何を素晴らしいと思っているのか、各国の人々の視点から日本の競争力を虚心坦懐に見つめ直すことが第一歩になるのではないか、さらには、地方のユニークネスと東京を経由して得られる国際性や先端性を組み合わせることが第二歩になるのではないか。と考えています。

(例えば、最近イギリスでは日本の腹巻きが売れています。これがイギリス人ではなく、日本人起業家や既存商社が着想できたならば、より良かったのに、と思うわけです。「JETRO 日本のハラマキを本物志向の英国市場へ ジェトロセンサー2014年1月号」

換言すれば、ZESDAは、いわゆるグローカリゼーション(地方×海外)によって、地方創生を実現しようと考えています。

もちろん、グローカリゼーションはこれまでにもあった概念です。しかし、地方側には海外の、海外側には地方のコネクションが少なく、確度の高い儲け話や、地方と海外を一気に繋ぐチカラが、システマティックに供給されてこなかった実情があると思います。

そこで、ZESDAは、「『地域プロデューサー』×ZESDA×『海外プロデューサー』」の連携によって、これを実現させていこうと考えています。

○ 地域プロデューサーとの連携

「地域プロデューサー」の予備軍は、職業柄、多様な業種に人脈・知見が 及び、中立的な貢献ができ、ある程度自由に動くことができる、地方の地方議員、地方公務員(特にOB)、青年会議所、税理士などの方々に多く見い出せるのではないかと考えています。

ZESDAは2015年8月、地方の若手地方議員を支援する「ユースデモクラシー推進機構」と提携関係を結びました。

youth-democracy.org

今後、こちらに連なる地方議員を通じて、海外進出を考える地方の中小企業や商工会等に対し、ZESDAが保有する東京や海外のビジネス情報・コネクションを提供していきたいと考えています。

また、2015年9月には、ZESDA副代表が地方創生人材派遣制度によって、副村長格で赴任している長野県川上村の現地視察も実施しました。現在、同村とのより具体的なコラボレーションが企画されています。

・地方創生!長野県川上村をプロデュース!ZESDA隊員訪問ルポ(全3回)
zesda.hatenablog.com

そのほか、鹿児島県でグローカルリーダーを育成する岡本尚也氏らの率いるNPO法人グローカルアカデミーや、若手地方議員・首長らとの個別の盟友関係も多数有しています。

○ 海外プロデューサーとの連携

「海外プロデューサー」の予備軍には、小回りの利く中小海外商社や、海外経験豊富で専門性を持ち、現地に独自の人脈を有する、JICAのプロジェクトに携わってきた開発援助コンサルタントらが挙げられると思います。

ZESDAは2015年5月、JICAより国際協力団体として公式に承認され、JICAコンサルタント1万人以上が登録する名簿に直接アクセスできる権利を得ました。
【ご報告】JICA PARTNERS「国際協力団体」認定獲得… – ZESDA(Zipang Economic System Design Association / 日本経済システムデザイン研究会) | Facebook

partner.jica.go.jp

ミャンマー、タイ、インド、ベトナムなど急成長する地域に人脈・知見を持つ彼らとの、コラボレーションは徐々に始まっており、大きな可能性を感じています。尚、これらの名簿の方々を対象に人材紹介・派遣業を行うことも合法であることも確認されています。

また、日本に留学中の外国人留学生たちも様々な情報や人脈をもたらしてくれます。2015年12月以来、各国留学生会の中央組織である、CISA(一般社団法人 在日本留学生会協議会)との協働を深めています。

cisa.or.jp

2014年以来提携関係にある、

・在日ASEAN青年ネットワークにも引き続き協力をいただいています。

aynj.org

国内の日本人ビジネスマンと留学生の交流機会が少ない状況を問題視する彼等とともに、外国人目線を取り込んだ新しいビジネス創出に取り組んで参ります。

他にも、官民協働ネットワークCrossoverと共催で、外国人有識者を囲んだ英語の勉強会PIPD (Platform for International Dialogue) も月に1~2回ペースで開催中です。

官民協働ネットワークCrossover内PIPD (Platform for International Dialogue)ページ 

こちらに集う国際派日本人有識者・親日派外国人有識者との交流も多くの気づきをもたらしてくれています。

さらに、海外市場で活躍する日本の中小商社数社にZESDAの情報や人脈を紹介するなどして、支援実績も既に重ねてきています。下記の「introduce」「inspire」実績に計上されています。

特に、地域としては、ミャンマーには焦点を当てており、今後も進出支援をしていきます。

ameblo.jp

このように、2015年に獲得することができた「地方」と「海外」に渡る「選択肢」を、繋ぎ合わせていくことで、2016年も新しいイノベーション、コラボレーションを生み出していきます。ZESDAという組織自体がプロデューサーとしての役割を担い、具体的には、下記の①システマイゼーション事業によって生産した海外ビジネス・ニーズ・アイディアを、②エデュケーション事業によって培うノウハウやネットワークを動員しながら、③プロデュース事業を通じて配布したり、自ら新規ビジネスを創出したりすることによって実現していきます。

◆ 3つの事業、3つのアウトプット

上記のコンセプトを実現するためのZESDAの具体的な事業形態も、試行錯誤の末、3類型にまとまって参りました。

① システマイゼーション事業

「外国人の着眼情報や日本人が海外で感じた違和感情報を集め(ニーズバンク®)、それらを具体的なイノベーションに繋げる。」

儲かりそうな海外情報には、「儲かりそう」というだけでは値段をつけられません。しかし、そうした情報の収集・精査にはコストがかかります。ですから、営利的にこれを収集配布するのでは勘定が合いにくいです。そして、それらは適切な企業を見定めて積極的に配布されていかなければ成果に結びつきません。公平性や中立性に足をとられて受身になりがちな公的機関には難しいところもあります。

この点、ZESDAはボランティアによるNPO活動なので、売上に縛られる必要がありません。また、産・官・学各界に幅広く渡る人脈・知見を総合して、成功しそうな海外ビジネスのアイディアを、無償で収集・整理・精査し、成功しそうな企業に無償で配布していくことができます。これこそが、非営利法人によって営利企業を支援するという一風変わった活動をしているZESDAの強みであると思います。

2015年は、ミャンマー、タイ等に関するニーズ情報を266個(通算740個)収集し、タイをテーマにしたイベントでは、69個のニーズ情報を精査し、65個のビジネスアイディアを創出しました。

海外ニーズヒアリング活動(各国留学生へのグループインタビュー)

Let's share our Cool Japan!
(外国人にあなたの好きな日本の財・サービス・観光資源の写真を送ってもらうコンテスト企画。日本人も外国人の代理としてであればご投稿いただけます。)

・新しいビジネスプランが欲しい経営者の皆様へ(第1回ZESDAクロスカルチャー交流会)
zesda.hatenablog.com

これらのビジネスアイディアは、下記の③プロデュース事業の”inspire”によって、順次、適宜適切な形で各企業や起業志望者に配布していきます。

② エデュケーション事業

「多様な視点や背景の人材を組み合わせてイノベーションを導くリーダーシップを、『プロデューサーシップ®』と名付けて研究し、普及させるワークショップを実施する。」

複数の分野にある程度目利きができる能力(マルチ・リテラシー)を持ち、組織や業界を横断してリーダーシップを発揮できるリーダーであるプロデューサーを、日本に増やすべく、ワークショップを開催していきます。2015年は5回開催しました。

イベント開催実績一覧

特に、2015年は、出展審査が非常に厳しい国内最大級の科学博覧会「サイエンス アゴラ」でも、メタエンジニアリングを研究する鈴木浩教授とともに、ワークショップを共催することができました。
zesda.hatenablog.com

また、2015年4月には、「プロデューサーシップ®」「ニーズバンク®」の商標登録 も得ました。
[:title]
www.facebook.com

そして、イノベーション関連の研究を進めるべく、下記の学識経験者からも多くの有意義な助言を頂戴しています。

・鈴木浩教授(日本経済大学教授(元三菱電機役員・元GE役員)「メタ・エンジニアリング」をご研究)
zesda.hatenablog.com

・青山学院大学山下勝教授(「プロデューサーシップ~創造する組織人の条 件~」の著者)
zesda.hatenablog.com

・大澤幸生教授研究室(東京大学大学院工学系研究科システム創成学専攻。「チャンス発見学」をご研究)
zesda.hatenablog.com
zesda.hatenablog.com

・三宅秀道専修大准教授(「新しい市場のつくりかた」「なんにもないから知恵が出る」の著者)
三宅秀道氏facebook公式ページ

そのほか、2015年4月には、医療産業の海外進出を主張する北原茂実医師の講演会も後援しました。
zesda.hatenablog.com

ZESDA自身もまた、独自の「プロデュース理論」を発信するべく、関連研究を着々と進めています。SNSを通じ、プロデュースやイノベーション、プロデューサーの名言、ZESDAの活動報告、海外進出、海外進出による地方創生関連の情報を発信しています。イイね、フォローをくださいますと、お手元に更新通知が届きますのでよろしくお願いいたします。

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③ プロデュース事業

「ZESDA自身がプロデューサーとしてNPO法人格の利点を活かし、情報や人材の新規組み合わせにより新しいビジネスを生産していく。」

2015年、ZESDAはアウトプットの定量評価指標として、

・introduce(人に人を繋げる)
・inspire(人にビジネスニーズアイディアを伝える)
・produce(ZESDA直轄で新規事業を創出する)

を定めました。

これは、introduceとinspireを無数に繰り返すことで、produceが形成されるという、ZESDAのプロデュース理論に基づいています。

introduceはただ「お繋ぎしたらいいことがありそう」という程度のご紹介ではなく、具体的なwin-win関係が成り立ちそうな方々を、ZESDAが見繕ってお繋ぎしていきます。inspireも同様に、ZESDAスタッフや有識者陣による目利きに基づいて行っていきます。

具体的なビジネスに繋がる見込みがあったり実績を残せたりしたものだけの計上を実験的に始めたたところ、2015年9月~12月に、introduceを23件、inspireを5件行いました。例えば、下記のようなイベントビジネスに繋がったものもあります。

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produce案件は現在9件が起動されており、特に事業化有望なものについては、着々と作業が進んでおります。成果は時宜を見てご報告申し上げます。2016年(2015年度)は、introduce:150件、inspire:20件、produce:5件の実現。そのうち、introduce:3件、inspire:2件、produce:1件のビジネス化を目標 として定めております。

以上をもちまして、新年のご挨拶、ZESDA2015年度の総括及び2016年の展望のご報告にかえさせていただきます。

本年(度)もZESDAをどうぞよろしくお願い申し上げます。

NPO法人ZESDA代表
桜庭大輔

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追伸:

ロンドンに映像学校に通う友人、ロンドンで俳優業を営む友人と3名でドローンを用いて、オクスフォードで撮影して遊びました。僕はBGMの作曲と演奏とエキストラを担当しました。美しいオクスフォードの風景がご堪能いただけると思います。

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