【書評】『PLANETS vol.9 東京2020 オルタナティブ・オリンピック・プロジェクト』
PLANETS vol.9 東京2020 オルタナティブ・オリンピック・プロジェクト
- 作者: 宇野常寛,吉田尚記,猪子寿之,乙武洋匡,岡田武史,古田敦也,有森裕子,井上明人,門脇耕三,南後由和,速水健朗,落合陽一,水口哲也,鈴木英敬,達増拓也,白井宏昌,浅生鴨,夏野剛,増田セバスチャン,井上伸一郎,安藝貴範,伊藤博之,田中秀臣,井上敏樹,中川大地
- 出版社/メーカー: PLANETS
- 発売日: 2015/01/31
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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東京オリンピックまで後5年。
本誌では、2020年オリンピックを新しい日本を再設計するためのチャンスと捉えています。
また、東京オリンピックだからといって東京だけで話では終わりません。
地方にとっても東京オリンピックは大きなチャンスとなります。
本誌「PLANETS」は、評論家として活躍されてる宇野 常寛 氏が編集長を務めるカルチャー誌で、クラウドファンディングを利用して発行されています。
本誌はA,B,C,Dの4つのパートで構成され、
それぞれのパートで編集長の宇野氏を始めチームラボの代表 猪子 寿之氏や作家の乙武 洋匡氏など様々な業界の識者が2020年の東京オリンピック・日本社会について語っています。
Aパートは従来までの鑑賞型のオリンピックではなくみんなで参加できる参加型のオリンピックについての提案や人間を超える義体の進化によってパラリンピックがどう変わるかなど次世代のオリンピック・パラリンピックがテーマです。
AR(拡張現実)・VR(仮想現実)、ドローン(無人飛行機)や筋電義手などの今後オリンピックを変える可能性があるテクノロジーが紹介されています。
2020年に向けた都市再開発がテーマのBパートでは巨大しすぎる東京を湾岸区、都心区、東区、西区、多摩県の5つの地域に分割するべきであるという提言や編集長の宇野氏、岩手県の達増知事と三重県の鈴木知事が地方にとってのオリンピックについての対談など今後の日本社会のあり方について考えさせられる内容となっています。
サブカル文化祭がテーマのCパートでは、来日する外国人に向けて京都や札幌などで開催するアニメフェスやAR(拡張現実)を利用しオリンピック期間中のみ東京中に妖怪を出現させスタンプラリーのように集めるスマートフォンゲームなど、オリンピックを東京で行われる体育祭に留めないユニークなアイディアで溢れています。
Dパートのテーマは破壊計画。
東京のセキュリティホールについて様々な視点から検証を行っています。
セキュリティはテロの標的になりやすい近年のオリンピックにとって、ある意味最も重要なテーマです。
本誌の対談の一部は無料で閲覧することが可能です。
http://www.huffingtonpost.jp/planets/hack-olympic_b_6620680.html
本のご購入を希望される方は取り扱い店舗が限られているのでご注意下さい。
本誌の興味深い点はオリンピックを文化・都市計画に影響を与える巨大なイベントと捉えているところです。
私達はオリンピックのエンターテイメント性やそれによって発生するビジネスに目を奪われがちですが、本誌2020年ではなく更にその先の未来に何を残せるか、どんな影響をあたえることができるかについて様々な角度から議論がされています。
多くの方が本誌の考え方に賛同し動き始めれば、東京オリンピックが終わっとき新しい日本が始まるのかもしれません。
最後に本誌の編集長・宇野 常寛 氏のコメントを紹介します。
(2020年は人口減少により国力が衰えていくと予想される日本が全力で走れるラストチャンスだという発言を受けて)
「そのラストチャンスを江戸時代の化政文化みたいに黄昏を愛でることに使うのか、それとも新陳代謝を起こすチャンスに使うのか。我々は、後者でありたい気がします。」
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NPO法人ZESDAは2015年春に「PLANETS」編集長の宇野 常寛 氏を講師に迎えイベントを開催すること予定しております。
イベントの詳細が決まり次第ZESDAのFacebookページにて告知させていただきます。
FacebookページはこちらのURLからアクセスできます。
https://www.facebook.com/zesda.since2012