理事長ご挨拶


「タテ」から「ヨコ」へ、「ウチ」から「ソト」へ


日本には天然資源がありません。人材と技術。そして文化的個性が日本産業の国際競争力の核であること。これらは昔も今も変わらない出発点だと思います。

しかし、日本の今日の繁栄を築いた「より良いものをより安く」の高度成長期モデルでは、中国・ブラジル・インドに淘汰されてしまいます。 また、人口減少の時代ではあっても、依然として数千万人の雇用を維持していかなくてはなりません。

日本はどうすればよいでしょうか。

ZESDAは「『タテ』から『ヨコ』へ」「『ウチ』から『ソト』へ」を意識したビジネススタイルの変革、そして、これらを実現できる「プロデューサー」の活躍が、我が国の社会の活気を支え、国際経済社会で日本産業が生き残っていくための鍵になってくると考えています。

「タテ」から「ヨコ」へ

日本の個性を世界市場での生存競争に活かしていくためには、新しい市場を切り拓くイノベーション(新規組み合わせ)が必要です。しかし、高度成長期を終えて30年経っても「系列」のタテ構造はまだまだ根強く残っています。ライバルや親会社とのシビアな関係の中で、海外進出やイノベーションに割く余力がある企業は多くありません。先細りのビジネスや補助金にしがみつくことを諦めきれない実態があります。

また、イノベーションには異業種・異分野を掛け合わせる「ヨコ」の連携が重要であること自体は、既に広く認識されており、政府や大企業も多様性を標榜したマッチングの「場」の創出をたくさん試みています。しかし、これらも真の効果をまだ発揮できていないように見えます。

何が問題なのでしょうか。どうすれば問題を解決できるでしょうか。

私たちは、「場」があっても、価値ある新規組み合わせを見出して異業種の人々を繋ぎあわせられる「人」が少ないこと、すなわち異業界に散らばる人々を橋渡しし、イノベーションのリスクとコストを最小限にマネジメントしながら、試行錯誤の過程を導くリーダーである「プロデューサー」が不足していることが問題であると考えています。

そこでZESDAは、複数の分野に目利きができる能力(マルチ・リテラシー)を持ち、組織や業界を横断してイノベーションを導くリーダーシップ、すなわち「プロデューサーシップ®」の普及に邁進していきます。

「ウチ」から「ソト」へ

かつて日本経済は、自動車産業等の強い国際競争力に導かれつつ、分厚い中間層による内需が支えてきました。しかし、普遍商品のクオリティのコスパを競う戦略では、既に生き残りは難しい状況です。また、国内でも人口減、所得格差、価値観の多様化、高齢社会と、社会構造の根本に大きな変化が起きています。

他方で、アジア、南米等、海外の新興市場の成長には、極めて目覚しいものがあります。既に日本のGDPの大半も海外投資が占めています。

しかし、私たちは日本の国内雇用を維持することも重視しています。地域の暮らしの活力に繋がるからです。

そのためには、国内よりも海外で売れるものを生み出し、世界経済をリードする「日本発のイノベーション」をより意識していくことが必要ではないか。そして、その方向性としては、普遍商品よりも多少ニッチな高付加価値の財やサービスを、多種繰り出していく戦略が良いのではないか。と考えています。ジャパンブランドも健在ですから、国富を海外(インバウンドを含めて)から得られる余地は、多くの人が指摘しているように、まだまだ大きいと思われます。

換言すると、ZESDAは、いわゆる「グローカリゼーション(地方×海外)」によって、地方創生を実現しようと考えています。その担い手こそがプロデューサーです。

これまでは、地域で活躍する事業家には海外の、海外で活躍する事業家には地方の、知見やコネクションが少なかったことから、確度の高いビジネスチャンスの話や地方と海外のバリューチェーンを一気に繋ぐチカラが構造的に供給されてこなかった実情があると思います。ZESDAは、若く柔軟な精神やITのチカラ、ベテランビジネスマンの経験を綜合しつつ、

「地域プロデューサー × ZESDA × 海外プロデューサー」

の連携をプロデュースすることで、日本産業の次代を切り拓いていこうと考えています。

プロデューサーに覚醒するあなたへ

タテとウチに籠らず、ヨコへソトへと未来を切り拓いていくチカラ―――。それこそが我々の主唱するプロデューサーシップ®の本質です。イノベーションも海外進出も、実現するのは「個人」だと思います。そして、人は出会いによって変わることができます。今まで会ったことのないような人と出会い、補い合える関係に気がついたとき。足かせに思えていた組織や制度の活用方法に気がついたとき。自分の経験や能力の更なる可能性が啓けたとき。次のステップに進むエネルギーが生まれてくるものではないでしょうか。

ZESDAは、このような「気づき(inspiration)」の供給、互いを補い合えるビジネスパートナーの「紹介(introduce)」を展開していきます。そして、未来を切り拓く「起業意志(entrepreneurship)」に「気づき(inspiration)」と「紹介(introduce)」を掛け合わせた先に、「新規事業の実現(produce)」を構想していきます。

あらゆる地域・業界・組織でプロデューサーが縦横無尽に活躍する社会を目指して、私たちは活動を続けていきます。

さあ、あなたも、ZESDAとともに、日本の「プロデューサー」になりませんか?

NPO法人ZESDA
代表 桜庭大輔