課題解決を考える前にしなければならないたったひとつのこと (第7回ZESDAプロデュース・カフェ)

タグ: ,

2013年6月22日に日本経済大学渋谷キャンパスにて第7回ZESDAプロデュース・カフェ「プロデューシングに必要な選択と集中 〜メタエンジニアリング第二回〜」を開催しました。


プロデュース・カフェでは、最初にワールド・カフェ形式のワークショップを行い、次にプロデューシングをテーマとしたゲストの講演を聞いた後、講演で得た気付きを元に再びワールド・カフェを行い、議論を深めるという形式を採っています。

今回は「人が自由に移動するようにするにはどうすればよいか」というテーマで参加者の方に議論していただきました。


また、講演は日本経済大学教授の鈴木浩氏に「プロデューシングに必要な選択と集中」というテーマでお話をいただき、第1回目の講演からメタエンジニアリングについてより深く解説していただきました。

まず、既存のエンジニアリングは「既存の制約を満足させながら、好結果を生むようにデザインすること」と理解されていますが、「制約条件が間違っていないか」、「好結果と想定していることは本当にいいことなのか」といった観点から考えると、必ずしも課題解決に有効な手法とは言い切れません。
そこで、「メタエンジニアリング」では、いったん制約をすべて外して、潜在的な課題を含めて社会的価値を創出するプロセスを進めていくことで、エンジニアリングの限界を打破しようとします。

 


例えば、ダイソン型扇風機は「羽根のない扇風機」として注目されましたが、これは日本人が得意とする「課題は何なのか」というWhatの視点ではなく、「その課題はなぜ必要なのか」というWhyの視点で扇風機を捉えなおしたことで生み出すことができたものです。
つまり、日本人は「羽根のある扇風機」という前提で一生懸命考えて製品を開発していた一方で、欧米人が「扇風機に羽根があるのは風を送るためだ(=潜在的な課題)。風が送れるのであれば、扇風機に羽根がなくてもよい(=社会的価値の創出)」という発想からダイソン型扇風機を開発することができました。

そして、この既存の問題設定に囚われた「井の中の蛙」から脱出するためには、物ごとを俯瞰的に見てみる、枠を外してみる、評価実を変えてみるなどの試みが必要だとの助言をいただきました。


以上のようなご講演を聴いたことで、その後のワールド・カフェではよりメタな視点からの議論が深まり、発表の際には、通常は模造紙で班ごとに議論の内容を紹介してもらうところ、「現在より移動の自由を促す必要はなく、現状を変えるための案の提案はない」として白紙で発表する班が出るなど、ユニークな発表ばかりの場となりました。

 

そして、カフェの後は18名程度が参加して懇親会が行われました。今回に限らず、カフェ後には毎回、懇親会を行っていますので、普段は出会わない異業種の方と交流していただき、新たな気づきやビジネス・チャンスが得られる場を今後とも提供していきたいと思います。

 

(NakiOtoko)